第34回 留守番がむずかしい。分離不安。
滝田雄磨 獣医師
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問題行動のひとつである分離不安。
犬の室内飼育が増えている昨今では、非常によく耳にする問題です。
今回はこの分離不安について、対策も含めてご紹介します。
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分離不安とは、主に飼い主が動物から離れたときに、 動物が不安を感じ、いろいろな問題行動を起こすことです。
問題行動には、吠え、破壊、トイレ以外での排泄などがあります。また、問題行動とは別に、
下痢、嘔吐、震え、足先の舐めこわし(肢端舐性皮膚炎)などの症状を起こすこともあります。
分離不安の原因として、以下のようなものが挙げられます。
分離不安を治療するにはどういった方法があるのでしょうか。
ひとつには薬やサプリメントを使って落ち着かせる方法があります。
最近では、フードの中に、気持ちを落ち着かせる成分が入っているものもあります。
しかし、これらの方法はあくまでも補助的です。
行動学的に少しずつ訓練していくことが大切です。
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分離不安と診断された子には、待てやハウスのトレーニングがされていないことが多くあります。
待てやハウスのコマンドができるようになると、犬は落ち着いて飼い主の指示に従うことができるようになります。
コマンドができたらしっかりご褒美をあげるようにしましょう。
コマンドができなくても、叱ってはいけません。
不安な気持ちが強くなってしまいます。
ご褒美を使って留守番と嬉しいことを関連付ける方法です。
とはいえ、留守番のときは飼い主がいないので、その場でご褒美をあげることはできません。
(最近は遠隔操作でご褒美をあげられるマシンもあります)
そこで、遊ぶと中からおやつが出てくるなど長く楽しめる知育玩具を利用します。
ただし、いきなりお留守番のときに知育玩具を置いていくだけではなかなか効果はでないでしょう。
そこで、段階を踏んで徐々に馴らしていきます。
実際には外出しないときにこのトレーニングをし、ご褒美で楽しい印象をつけることで、徐々に留守番に馴らしていきます。
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ひとりで留守番をしているときでも、ハウスなどの小さな囲まれた空間の方が安心できるものです。
普段から、ハウスのなかに入ったときにご褒美をあげるなど、ハウスは楽しい場所というイメージをつけておきましょう。
留守番のときはハウスの扉を開けっ放しにしておくと、閉塞感からくる不安も減らすことができます。
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飼い主が家にいる間、
ずっと一緒に過ごしている犬のほうが、分離不安になりやすい傾向があります。
留守番のトレーニングの一環として、飼い主のみ別の部屋に移動し、犬はひとりにするという状況の練習をします。
分離不安の子は、その状態になると飼い主を呼び戻そうと吠えるようになります。
しかし、このときにこの部屋に飼い主がもどってくると、吠えたら戻ってきてくれると学習してしまいます。
部屋に戻るタイミングは、吠えていないときにしましょう。
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でかけるときは、行ってきますの挨拶で愛犬をもみくちゃに可愛がりたくなってしまうものです。
しかし、分離不安の子にとって、この過剰な可愛がりは、在宅時と不在時との差を明確化することになります。
外出時と帰宅時の切り替えは、なるべくさりげなくすることで、留守番に対する嫌悪感の昂ぶりを減らすことができます。
帰宅時も過剰に可愛いがらず、さりげなく帰宅するようにしましょう。
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分離不安の子は、不適切な排泄や破壊行動などの失敗をしてしまいます。
これに対し、それは悪いことと教えるため、飼い主が犬に罰をあたえることがあります。
しかし、犬にとっては不安な気持ちでいっぱいの時に叱られることになります。
そうすると、不安な気持ちはもっと大きくなり、 叱られるところまで含めて留守番と認識してしまうこともあります。 失敗を叱るのではなく、成功をほめるようにしましょう。
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しかし、留守番に対する嫌悪感が強まらないように、薬やサプリメントで落ち着かせることも大切です。
薬やサプリメントを毛嫌いするのではなく、治療の一環として上手に利用しましょう。
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多くの家庭からお悩みの声を聞く分離不安。
一朝一夕で治すことはできませんが、今回紹介したような方法で徐々に馴らすことができます。
大切なのは、失敗をしからないこと。
不安を与えるのではなく、安心を与えることで、おたがいが楽しい生活を
送れる治療方法を選択しましょう。